神奈川県鎌倉市「あさくさ食堂」

LINEで送る
Pocket

■初代譲りの向上心で、常に味とサービスに最善を尽くす

あさくさ食堂-08

「94歳で亡くなるまで、当時最先端だったワープロの使い方を学んだり。向上心が強い人だったんです」

そんな義春さんには跡継ぎになるはずだった息子・康太郎さんがいましたが早くに他界。そこで、二代目として店を継いだのは康太郎の奥さんの榮子さん。現在は第一線を退きましたが、初代と共に食堂を切り盛りしていた彼女が手がけた料理の中で、今でも人気なのが焼き餃子。

あさくさ食堂-09

弾力のあるしなやかな皮に包まれた餡は、「ニラ、キャベツ、豚肉、にんにく、しょうが」と野菜がメイン。焼き立てアツアツを頬張れば、食欲をそそる香りが鼻腔に広がり、ぎゅっと詰まったキャベツや豚肉の甘味が溢れ出します。

そんな榮子さんから暖簾を受け継いだ康夫さん。「初代の方針で20代の頃にはお店に入ることができなかったんです」ということで、出版社勤めの経験も。日本酒のムック制作を担当した経験は、食堂らしからぬ充実した地酒の品揃えに活きています。

27歳の頃、当時余命3ヶ月の宣告を受けた初代からの「そろそろこっちの世界に戻ってきたらどうか?」という一言をきっかけに、和食や洋食の修行を開始。中でも「自分にすごく水が合った」というのが、香川のホテルでの中国料理の修行。こうして他流試合によって研鑽を積んだ康夫さんが、鎌倉に戻った時に感じたのが『朝ごはん問題』でした。

「この食堂に戻る前に視察のような形で香川から鎌倉に来て、朝6時に到着したのですが、当時の鎌倉には朝ごはんが食べられるお店がなかったんです。香川に住んでいた時でさえ、うどんや牛丼、ファミレスがあるのにって思って。そこで、朝食を始めたんです」

毎朝6時にシャッターが開き、鎌倉の朝日を浴びながら羽釜炊きのごはんと野菜たっぷりの味噌汁で一日のスタートを切ることができるサービスは、今では町に欠かせない存在に。

「毎朝5:45に食堂で仕込みを始めるのですが、シャッターを開けてすぐに来たお客さんには『コーヒー飲みながら待ってて!』っていう感じで、お待ちいただいてます(笑)」

これを皮切りにワンコインランチや、深夜営業「夜鳴きうどん」、「ちょい呑みセット」、落語会「笑う香辛料」など。視野が広がった康夫さんの手によって、食堂に色々な表情を生み出す企画が増え、食堂のメニューもリニューアルされていきました。

あさくさ食堂-10
あさくさ食堂-11
こちら、ちょい呑みセットのアテに選んだ『鎌倉野菜の煮物』としらすのおろし和え、煮物の正体はなんとアヒージョ!あさりの出汁が絡んだ、キャベツの甘さとシャキシャキの食感がビールを誘い、磯の香りを運ぶしらすのフワフワした食感が日本酒恋しの思いにさせます。

LINEで送る
Pocket