大十食堂-01

百年食堂が点在する青森県津軽地方。その南東にある平川市に店を構えるのが大十食堂です。

もともとの地名だった旧尾上町の中心街・文字の交差点と、現在まで四代に渡り暖簾を受け継ぐ西谷家の屋号・を冠したお店。明治33年の創業からなんと120年(!)に渡って営みを続けています。

大十食堂-02

名物はセットメニュー。ラーメン×やきそば×おにぎりという、炭水化物だけでトリオ編成されたAセットは背徳感に満ちた組み合わせ。

ラーメンのおかずにやきそばを啜る。おにぎりを頬張りながらラーメンのおつゆを飲む。やきそばのタレの酸味とコクをおにぎりの甘さで洗い流す。炭水化物だらけなのに、おかずのように組み合わせて食べ進めるうちに、圧倒的満腹状態にたどり着く。この不思議な食後感が店の看板になっているといっても過言ではありません。

で、数年ぶりに訪問したこの日。やっぱりAセットにしようかなぁ…と思ったのですが、雪がちらつく肌寒い季節もあって、恋しくなったのはラーメンの熱々スープ。

となれば、レギュラーサイズのラーメンと合いの手がセットになったBセットで決まり。チャーハンも焼きそばの手招きも魅力的でしたが、スパイシーな刺激がほしかったのでカレーライスと組み合わせてみました。

大十食堂-03

運ばれてきた組み合わせに大正解を確信。大きな器になみなみと注がれた透明感のあるスープ、そしてジャストサイズなカレーライス。

塩加減がほどよく、やさしい口当たりのスープ。その要はお店で作られる自家製焼干し。本来は産地から仕入れたものを鍋に入れて出汁を取るところですが、こちらでは「マイワシ(ヒラコ)の煮干しを焼いたものを臼で細かく挽いて、それを更に乾煎りする」というこだわり。

そこに「髄の旨みを溶けこませるように」しっかり割ったとんこつや、昆布や削り節を加えて味を整えるとまろやかなスープのできあがり。旨味を舌にころがしているうちにレンゲの止め方がわからなくなるほど。

その中で泳ぐ麺は、製麺後にしっかりと寝かせて一つ一つ手揉みをすることで、スープの絡みをよくしたもの。もちろん、これまた手が止まらなくなるのは当たり前ですよね…

そんなラーメンの合いの手になるミニカレーは、家庭感満載の「こういうのがいいんですよ!」なおいしさ。えぇ、やっぱり交互に食べるのが一番です。

大十食堂-04

こちらがBセットのやきそば×ラーメン。見た目に麺のムッチリ感や、玉ねぎのシャキシャキ感が伝わる麺々コンビ。「仕事でこのあたりに来るときには、やっぱりここに入ることが多い」と語るのは、同行いただいたお隣の黒石市で働く方。

かつては小さな町の中で愛されていたお店も、今は津軽・中南エリアの胃袋を一手に引き受ける存在。実は閉店近くの時間帯だったにも関わらず、働く男たちが背中を丸めて麺類やごはん類をワシワシと食べる姿で賑わっていたのでした。

プロフィール

百年食堂応援団/坂本貴秀
百年食堂応援団/坂本貴秀ローカルフードデザイナー
合同会社ソトヅケ代表社員/local-fooddesign代表。内閣府を退職後、ブランディング・マーケティング支援、商品開発・リニューアル、コンテンツ企画・撮影・執筆・編集等各種制作を手掛けている。