会津若松駅から電車に揺られること20分。
会津鉄道・芦の牧温泉駅で降りると、乗車券売場の一角で二代目ネコ駅長「らぶ」が元気に遊びつつ(?)、お客さんを出迎え。そんな温泉街の玄関口に店を構えて90年となる牛乳屋食堂。一昨年の4月以来久しぶりに再訪しました。
平日のランチタイムには少し早いタイミングでしたが、店内には梅雨前の涼しさの中で、名物のソースカツ丼やアツアツの中華そばに舌鼓を打つお客さんの姿。
カウンター席で食べる今日のお目当ては、この手打ミルクみそラーメン。初めて見た時から「牛乳屋食堂らしいなぁ…」と感じたメニュー。二年ぶりの宿題解決といきましょう。
運ばれてきた白い器の中には、味噌にミルクが溶け込んだ優しい茶色のスープがたっぷりと。麺の上を彩る具材もチャーシューにコーンにメンマにと具だくさん。ネギと糸唐辛子の色が全体を引き締めます。
ということで、スープからさっそく一口。
ミルクのまろやかな口当たりから広がる、味噌の丸く柔らかな旨味。出汁をしっかり効かせつ、一環して「やさしい」がキーワードになっているような味は、まるで洋風仕立てのポタージュのよう。粉チーズや生クリームが加える立体的なコクとほのかな唐辛子のアクセントが、レンゲを口に運ぶスピードを加速させます。
そんなスープがしっかり絡む手打風のちじれ麺。モチモチの食感は変わらず健在、唇に当たるウェーブの変化が啜る楽しさを高めてくれます。チャーシューの厚みに驚きながら、穴あきレンゲでコーンを掬う。麺とスープを食べ進める中で、合いの手がしっかりと仕事をしています。
ということで、スープを残して完食。このタイミングで、食堂の三代目の節子さんにこのラーメンについてお話を伺うと、「元々、ウチの屋号は牛乳屋なので、お客さんに『ラーメンに牛乳が入っているんですか?』って聞かれることも多かったんです。
それなら牛乳を使ったメニューを作ろうと、10年ほど前に販売をはじめて、今ではウチで1・2を争う人気メニューになったんです。塩ミルクも醤油ミルクも試したんですが(笑)、やっぱり味噌が一番だねって。麺を食べ終えた後にごはんを入れても美味しいし」
え?やっぱりごはん投入型でしたか…!ということで、半ライスを注文してスープに投入!
「昔から、力仕事の方がお客さんに多かったので、ウチはごはんもたっぷり盛りです」という、茶碗軽く2杯分の白ごはんは少しずつスープの色に染まり、一口レンゲで頬張れば和風スープリゾットの美味しさに、ボリュームを忘れて完食と相成りました。
もちろん食後の締めは瓶牛乳、牛乳づくしにごちそうさまでした。
ここで食事中にお願いしていた物が目の前に。白い袋に入っているのは…
やっぱり、ソースカツ丼が欠かせません! テイクアウトにも対応している嬉しいサービスです。
満腹のお腹をソースカツ丼を手にお店を出ると、眼の前のお店にはメニューを読み耽るお客さんの姿。リニューアルしたという牛乳屋のお土産店にはソフトクリームの幟も立ち、屋号から始まるお客さんの期待に応え続ける、老舗のしなやかな変化に嬉しくなりました。
前回、訪問したときの記事はこちらからご覧ください!