【百年食堂・おかわり!】青森県八戸市『キクヤ食堂』のナポリタンと夏ラーメン

2020年8月23日

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青森県八戸市の百年食堂『キクヤ食堂』。

お昼時にはキクヤラーメンをはじめ、豆腐フライ、ポークソテーといった、名物を食べるお客さんで賑わい、三代目の信一さんは厨房で休むことなく腕を振るう。

そんな食堂の夜。晩ごはんを食べようと暖簾をくぐると、昼間の慌ただしさと打って変わってゆったりした空気に包まれていた。ビールと共に生姜焼き定食を頬張ったり、座敷席で時間を気にすることなく寛ぐお客さんの姿。ゆっくりと料理を味わったり食堂呑みをするには、やっぱりこの時間がベスト。

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もちろん、口開けには豆腐フライが欠かせない。サクッと軽やかな衣の中には木綿豆腐。塩とコショウの下味が、豆の旨さが際立たせている。

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卓上のしょうゆを数滴落とせば、たっぷりの鰹節の香りと相まって、温奴とフライのいいとこどりの感覚に。8切れあったフライが、あっという間に空っぽに。

一口でタイムスリップ!昭和のナポリタン

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そんな食堂で食べたかったのが、この昭和のナポリタン。

店頭に出されたメニューボードでは裏メニュー扱いになっている一品は、NHK八戸支局の近くで昭和40年代から信一さんの母の弟さんが営んでいた、街の喫茶店の定番メニューを再現したもの。

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横長のお皿にたっぷり盛られたその姿は、まさに昭和のナポリタン。ケチャップがたっぷり絡んだスパゲティと、玉ねぎ、ピーマン、ハムのシンプルな具材との組み合わせ。

少しモチモチした麺の食感は、アルデンテの向こう側でしか楽しめないもの。シャキシャキした野菜の食感とのハーモニーもしっかりで、食べごたえ抜群な一品だ。

■かつおだしがさっぱり旨し!な夏ラーメン

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そして、夏限定のメニューがこの夏ラーメン。こちらは「キクヤラーメンの煮干しスープをベースに、冷やしを作れないか」という想いを元に試行錯誤を繰り返したという一品。

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ひんやり冷たいスープの出汁、たどり着いた答えはかつおだしだった。香り深く口当たり優しい旨味が、レンゲを持つ手を止めさせない。

具材は玉ねぎやもずく、しょうがと、夏らしく麺をすする勢いを助けてくれる。チャーシューも二枚盛られているので、パワー補給にもぴったり。

引き締まった細麺をすすって、玉ねぎのみずみずしさとスープの旨味を口いっぱいに広げる。そこに差し込んでくるのはワサビのツンと鮮烈な香りと刺激。ギアをもう一段上げて、スープも最後の一滴まで飲み干してしまう。

常に新しい料理にチャレンジし続ける姿勢こそ、お客さんに長く愛され暖簾がしっかりと受け継がれてきた理由。そんなことを教えてくれた八戸の味。やっぱり、ここは街に欠かせない。

※キクヤ食堂の紹介記事本編は、下のリンクからご覧ください!

プロフィール

百年食堂応援団/坂本貴秀
百年食堂応援団/坂本貴秀合同会社ソトヅケ代表社員/local-fooddesign代表
食にまつわるコンテンツ制作をはじめ、商品開発・リニューアル、マーケティング・ブランディング支援、ブランディングツール制作などを手掛ける。百年食堂ウェブサイトでは、全記事の取材先リサーチをはじめ、企画構成、インタビュー、執筆、撮影を担当。