埼玉県寄居町「今井屋」

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■秘伝のタレがたっぷり染みたかつ丼と、一口目の驚きがスゴい親子丼

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2枚のカツがごはんを覆うかつ丼の食べ方は、丼の蓋をお皿代わりに1枚移して、タレ色に染まったごはんと一緒に頬張ること。そう、自分のペースで全力でおもむろに頬張るのが一番。

サクサクの音と共に、衣の隅々まで染み込んだ甘塩っぱいタレのおいしさで口が膨らむ。柔らかなモモ肉から染み出すさっぱりした肉汁がタレと結ばれるときに、食欲を呼び込む絶妙な甘さ加減を感じる。

「作り置きではなくその日使う分をその日に作っている」というタレの味は甘すぎずしょっぱ過ぎず。この味加減こそが育子さんが作り大切にしてきた食堂の宝物。万能なおいしさが食堂を家庭的な雰囲気で包み込む。なので、一合分のごはんにもかかわらず箸が止まりそうもない。

「丼に大盛というのはないんですが、ごはんの単品があってタレをかけたものをお出ししてるんです」と、タレごはん好きにとって応えられないサービスがあることも納得だ。

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そんなタレを使った親子丼を一口食べると、”おいしい”の言葉以上に不思議な感覚に包まれる。タレと新玉ねぎが出る甘さに卵が加わると、まるで魔法のように普遍的な親子丼の味になるからだ。

シャキしっとりとした歯ざわりが残り、割下の旨味を担うたっぷりの玉ねぎがポイント。柔らかなモモ肉が持つ旨味と一つになったおいしさは、鶏もものように重さがなく軽やかに、だけどしっかりごはんが食べられる。

そんな両方の丼のおいしさを更に際立てるのがぬか漬け。瑞々しいキュウリと大根の色が目に鮮やかで、パリパリと楽しい食感と香りが素朴で家庭的な料理の雰囲気を更に醸成する。

「ぬか漬けもお手製ですが、冬になるとたくあんと白菜に変えるんです。一年中ぬか漬けをしようとしても冬は発酵しないのでおいしくならないですし、この季節は白菜がおいしいので」と、シンプルなものだからこそ素材や時期に合わせて花を添えている。