埼玉県さいたま市「中華の永楽」

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中華の永楽-12

「手間はかかるけど豆の味を活かした豆腐をと思って、10年以上ぐらい前から始めた」という、北海道の大豆と伊豆大島のにがりを使った豆腐が大皿にたっぷり。サラサラの餡が絡んだ豆腐の弾力は、「キメの細かさは少し粗目で、名古屋に『ソフト』と呼ばれる豆腐があって、それに似てるかなぁ」というオリジナリティに富んだもの。

今時の花山椒シビレ系ではなく唐辛子の辛さがスッキリと身体にササるタイプ。豚のひき肉のエキスがしっかり溶け込む餡の肝は中華用のスープ。飲み干すように食べ尽くすこの感覚がたまらない。

中華の永楽-13

そして、イカフライと同じく創業時から受け継がれるのがこのオムライス。薄焼き卵がしっかりとチキンライスを包み込んだ雄大な姿に一目惚れ。トマトケチャップたっぷりのオムライスには洋食が持つ普遍性がいかんなく発揮されている。

「オムライスに添えてる中華スープはラーメンスープにアレンジをしたもの。この組み合わせも昔から同じなんです」

出汁の旨味がよりスッキリと広がるスープは不思議と相性バツグン。口の中のトマトの酸味や甘みを洗い流す瞬間に、混ざり合って膨らむ後味がたまらない。

中華の永楽-14

そして、育弘さんの代に生まれた代表作がこの岩槻ねぎ焼そば。

「地産地消じゃないけど『地元に埋もれている食材がないか?』という話があって、細々とネギを作っている方と知り合った。B級グルメが流行った時期に町おこしの意味で作ったもので、この町が盛り上がってくれればと思っている」

江戸時代の伝統野菜・岩槻ねぎをふんだんに使った一品は、鮮やかな色や甘みといった主役としての存在感を放ち、やさしい塩ダレが麺や豚肉との組み合わせをまとめている。

古典落語の「たらちね」にも登場し今も語り継がれる町の象徴は、「品種改良していないので暑さに弱く、昔の味のするネギで9月下旬以降じゃないと出てこない」という昔気質な特長を生かした味に昇華し、一過性の町おこしグルメではなく店の看板として愛されている。


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