埼玉県さいたま市「中華の永楽」

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■三代で受け継ぎ生み出した自慢の味

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現在の永楽は、育弘さんが料理の下ごしらえで味の基礎を固めつつ、ホールでの接客で厨房とお客さんとをつないでいる。

厨房にいる料理人たちは担当料理ごとに腕を奮って多彩なメニューに対応し、母親の君代さんが料理を運ぶ。大きな店舗になっても食堂らしさは一つも失われてなく、むしろ時代に合わせたしなやかな体制が整っている。

中華の永楽-09

「たくさんの料理がある中でウチの定番はイカフライ、オムライス、ラーメン。特に今も昔もイカフライが一番人気。昔は銀のオーバル皿にイカフライ、キャベツ、ごはん、お漬物を盛ったワンプレートがあって、それを知っている人は『イカライス』って呼ぶんです。出前でも人気で特に年配の方に根強いですね。

普段遣いの出前に対して、ファミレスがなかった時代のごちそうとして週に一回ここに来て…という方が多かったです」

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昔の屋号が表紙に書かれたメニューブックには、創業から積み重ねてきた結晶が並ぶ。個々の料理に付された育弘さんのキャッチーな一言コメントが、伝統に遊び心を加えている。

「やっぱりお客さんが食べ飽きないことを意識しますね。一回の訪問で終わってもしょうがないので、メニューを見て次はこれが食べたいなぁ…という流れを作りたい。隣のテーブルで食べてる料理が気になる感じになるのが一番です」

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そんな中でも「昔から変わらない」というラーメンは、大きく厚い肉々しいチャーシューや細かく刻まれたネギ、メンマやのりといった昔ながらの具材が彩る。動物的な旨味と魚の旨味を醤油ダレが引き締めるスープ。シンプルで鮮烈なおいしさが、啜り心地のいい麺にしっかりと馴染んでいる。

「スープの出汁は鶏肉と豚肉に香味野菜、そこに節ものを加えています。昔から麺は自家製麺だったりと、ウチは『作れるものはお手製で』というやり方です」

洋食堂時代から受け継がれるお手製へのこだわり、それを象徴する料理の一つが、自家製豆腐を使った麻婆豆腐だ。