北海道名寄市「三星食堂」

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■食堂の美学は「定食」にあり

三星食堂-06

「昔からウチはどの料理にも満遍なく注文が入るんです。名寄には昼に強い飲食店やファミレスがないこともあってか、『三星に行ったら何かある』という気持ちで来ているはず。家族全員で同じ料理を食べるのではなく色々なものが食べられることが、ウチを選んでもらえる理由でしょうね」

31歳で食堂に戻った宏三さん。修行先で積んだ腕前を活かし新メニューを次々と導入して食堂の味に新風を吹き込んでいた。

それを象徴するのが食堂の表に置かれた大きなメニュー。うどん・そばといった創業時からの顔から、中華そば、カツ丼といった丼ものまで食欲を掻き立てる文字が並ぶ中、宏三さんが特にこだわりを持つのが定食類。

「一品だけで完結するメニューと違って、主菜から小鉢、漬物まで。一つひとつちゃんと作った料理がお盆に盛られて始めて完成するのが定食というもの。色々な味が食べられるという意味で、実はサービス商品だと考えています」

料理の数だけオペレーションが発生しそれを全てクリアした料理が並ぶ、いわば食堂のベストセレクト。自宅の食卓に置き換えて考えると、これだけの料理を作って並べるのは手間がかかる。私たちが無意識のうちに手軽で親しみやすい存在として食べている定食には、作り手の美学が詰まっているといっても過言じゃない。

そんな定食の一番人気であり、店の看板メニューとなっているのが『鳥の照り焼マヨネーズ炒め定食』

「魚ものも含めて色々とメニューを増やそうと思った中で、最初に『生姜焼きがないな』と思って加えたんです。その後、調理のしやすさとボリューム感のある鳥肉をメインにした定食を考えたのがこれで、今ではウチの一番人気になりました」

一方、三代目が提供を始めて以来、安定した人気を誇るのがジンギスカン定食。

「ご当地グルメブームの影響もあって、『名寄のジンギスカン=煮込み』というイメージを持つ方も多いのですが、元々こっちの家庭では煮込むというより、平鍋やホットプレートに肉、野菜、うどんを盛って、タレをかけたら蓋をして蒸し焼きで食べるもの。店でも親父の代から家と同じように作って出してきたものなんです。ただ、ごはんにうどんだとあれなんで、うどんは入れてないんですけどね(笑)」

名寄の暮らしぶりに触れられる定番が主菜の定食と、四代目の工夫とこだわりが詰まった定食。これはもう、どちらも食べないわけにいきません。