岩手県宮古市「冨士乃屋」

LINEで送る
Pocket

■メニュー豊富な食堂だからこそ

冨士乃屋-05

「ウチの隣に元々あった魚屋さんがお店を締める時、土地を譲っていただいて駐車場にしました」こうした機会もあって内装や外装の入れ替えをした1年後、宮古の地を東日本大震災が襲ったのです。

「店は泥と灯油で真っ黒に染まった水に浸かってしまい裏手の自宅とともに、全部やられてしまいました」

それでも、冷凍庫や冷蔵庫に残っていた食材のうち、無傷だったものは「近所の方におすそ分けしていた」とのこと。当時、食堂としてできることに取り組みながら、再開に向けて準備を進めていきました。

宮古街道に冨士乃屋の暖簾が帰ってきたのは、震災から32日後。営業を再開した冨士乃屋の味は震災前と変わることなく、待ちわびていたお客さんの心を癒やし、胃袋を満たしました。

「店頭で掃除をしているとお客さんから『再開はいつ?がんばって!』って声を掛けられて、それが励みになりました。再開するなら全メニューを提供できる体制でと思っていました。幸い野菜は八百屋さんから調達することができ、ストックしていた食材の中は水に浸からなかったものもあったので、時間がかからなかったんです。でも、こんなに早く商売を再開することができたのは、調理器具を用意してくださった業者さんのおかげ。震災後、一番最初に連絡したのも業者さんだったのですが、冷蔵庫やコンロなどを素早く準備してくれたんです」

再開にあたって重治さんがこだわったのが「お客さんに何を食べるかをメニューから選ぶ楽しみも味わってほしい」ということ。復興に向かう町に希望の味が帰ってきたのです。


LINEで送る
Pocket